2013年12月8日日曜日

iPhone5sのカメラの画素数について

iPhone5sのカメラの画素数は8Mピクセル程度。あまり進化していないことに疑問を持った人もいるかも知れない。アップルのホームページを見ても1.5μmのピクセルを使用とピクセルの大きさをわざわざ記載している。これはピクセルを大きくしたことで高感度になったことをアピールしているんだろう。じゃどこまで画素数を下げてもよいのか?3Mピクセルとかでもいいのか?

レンズの観点から考えて見ると、光学的にこれ以上は解像しないという指標がある。
レイリーの判断基準とかいう基準。
簡単にいうと、理想的なカメラでは点が点に写るはずだけど、現実には絞りによって光が回折して点がぼやけてしまう、というもの。この回折効果が大き過ぎると、隣り合う2点が混ざって分解できなくなる。2つの点が2つと判断できる広がり幅をレイリーさんが決めたのである。

回折効果による光の広がり具合はFナンバーによって決まる。
レイリーさんの基準の式をみると明るいレンズほどより細かいものを分解できることになる。レンズは回折以外にも収差があるのでこれだけレンズの性能を判断できる訳ではないけど、どんなに頑張ってもこの物理現象を超えた解像度は得られないということだ。

じゃ、ここでiPhoneの解像限界を調べてみる。
https://www.apple.com/jp/iphone-5s/specs/
とりあえず、可視光の波長をλ=550nm, FナンバーをF2.2、として
$x=1.22*\lambda * F$
を計算するとx=1.48μmとなる。ピクセルの大きさ1.5μmとほぼ一致する。
つまりレンズが理論的に解像する点のところで画素の微細化をやめて高感度特性を活かすような設計というわけだ。

SonyのXperia Z1 fを見てみる。こちらもカメラの機能を押しているようだ。
レンズのFナンバーは2.0。さっきと同じ計算を行うとレンズの解像限界はx=1.34μm。
ピクセル間隔は公表されていなけど、センサーサイズ(1/2.3inch)と画素数(20.7M)から見積もると大体1.12μmとなる。
こちらは解像限界よりも少し小さいピクセルを使用している。なぜこのような設計になるかというと、電子ズームしたときの性能を確保したかったからだろう。超解像などを行う場合では画素が多いほうが有利かもしれない。また感度に関しては自前の最新のセンサーを使えるので有利なのだろう。

途中に書いたけど、回折限界は理論値でこの値まで解像しているカメラレンズはほとんどなくて、他の収差によってもっと解像しないのが普通だ。その辺の設計値はさすがにメーカーも公表してくれないけれど、レーリー基準を使うことで多画素の恩恵がほんとうに受けられているのか比べる1つの基準にはなるかもしれない。





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